資格取得を支援するアプリを作っていると、「いま多くの人が受けている資格は何か」を数字で示したくなりました。トップ画面に受験者数の多い試験が並んでいれば、ユーザーが次に学ぶ候補を選びやすくなりますし、学習の動機づけにもなります。
最初に出てきた「人気ランキング」の問題点
最初は、軽い気持ちでAIに「現在の資格取得ランキング」を聞きました。すると、定番資格として次のような上位が返ってきました。
| 順位 | 資格名 | 分野 |
|---|---|---|
| 1 | ITパスポート | IT・デジタル |
| 2 | 宅地建物取引士(宅建) | 不動産 |
| 3 | 簿記2級・3級(日商) | 会計・経理 |
| 4 | ファイナンシャルプランナー(FP) | 金融・資産 |
| 5 | 基本情報技術者試験 | IT |
いわゆる"人気資格"としてよく見かける並びです。ただ、ここで気づきます。「人気ランキング」はアプリに載せるには根拠が弱い。
「人気」の曖昧さ
受験者数なのか、講座の申込数なのか、求人需要なのかで"人気"の意味が変わり、順位も変わってしまいます。私が作りたいのは、できるだけ客観的な「受験者数ランキング」です。
集計ルールを自分で決める必要があった
調べ始めると、国家資格全体を横断して「2025年の受験者数ランキング」が完成形で載っている公式ページは基本的に存在しないことがわかりました。
資格は所管省庁も実施団体もバラバラで、公表形式も統一されていないからです。消防試験研究センター(危険物)・IPA(情報処理技術者)・全国建設研修センター(施工管理)など、試験ごとに別々のページで別々の形式で発表されています。
つまり、ランキングは"どこかから持ってくるもの"ではなく、こちらで集計ルールを決めて作る必要がありました。
今回決めた集計の条件
やり取りを重ねながら決めた「集計の条件」です。
- 対象は「国家資格全体」ではなく、現実的に作れるよう主要な国家資格(上位30前後)に絞る
- "人気"ではなく、指標を受験者数に統一する(申込者数ではなく、可能な限り受験者数)
- 2025年は暦年(2025/1/1〜12/31)の実施分で集計する
- 年に複数回実施される試験(CBTや複数回開催など)は年内の受験者数を合算する
- ユーザーが実際に申し込む単位で分ける(例:危険物は「乙4」「甲種」など別、施工管理は1級/2級など別)
- 前期・後期など名称が分かれていても取得できる資格区分が同じなら合算する(例:2級土木施工管理の前期+後期)
- 出典は必ず公式の統計・試験結果ページ(実施団体/所管官庁)にそろえる
- 運転免許のように桁が違って比較不能になりやすいものは、通常の資格ランキングの文脈では除外する
集計ルールを決めた意味
このルールが決まったことで、「集計対象を確定して、各公式ページの2025年受験者数を拾えばランキングが完成する」という状態になりました。データの定義が先、集計が後—この順番が重要です。
集計対象として確定した30試験
次の30試験を2025年受験者数で並べ替えて最終順位を確定する予定です。試験区分の粒度を統一し、各試験の出典(公式の統計・試験結果ページ)も合わせて整理しました。
| No. | 試験(受験単位) | 出典(公式) |
|---|---|---|
| 1 | ITパスポート試験 | IPA 統計情報 |
| 2 | 基本情報技術者試験 | IPA 統計情報 |
| 3 | 情報セキュリティマネジメント試験 | IPA 統計情報 |
| 4 | 応用情報技術者試験 | IPA 統計情報 |
| 5 | 宅地建物取引士資格試験(宅建) | 不動産適正取引推進機構 |
| 6 | 行政書士試験 | 行政書士試験研究センター |
| 7 | 社会保険労務士試験 | 社労士試験センター |
| 8 | 3級FP技能検定(2団体合算) | 日本FP協会 / きんざい |
| 9 | 2級FP技能検定(2団体合算) | 日本FP協会 / きんざい |
| 10 | 危険物取扱者 乙種第4類 | 消防試験研究センター |
| 11 | 危険物取扱者 甲種 | 消防試験研究センター |
| 12 | 危険物取扱者 丙種 | 消防試験研究センター |
| 13 | 第二種電気工事士 | 電気技術者試験センター |
| 14 | 第一種電気工事士 | 電気技術者試験センター |
| 15 | 第三種電気主任技術者(電験三種) | 電気技術者試験センター |
| 16 | 第一種衛生管理者 | 安全衛生技術試験協会 |
| 17 | 第二種衛生管理者 | 安全衛生技術試験協会 |
| 18 | 二級ボイラー技士 | 安全衛生技術試験協会 |
| 19 | クレーン・デリック運転士 | 安全衛生技術試験協会 |
| 20 | 1級土木施工管理技士(第一次検定) | 全国建設研修センター |
| 21 | 2級土木施工管理技士(第一次検定)※前期後期合算 | 全国建設研修センター |
| 22 | 1級建築施工管理技士(第一次検定) | 全国建設研修センター |
| 23 | 2級建築施工管理技士(第一次検定)※前期後期合算 | 全国建設研修センター |
| 24 | 2級建築士 | 建築技術教育普及センター |
| 25 | 1級建築士 | 建築技術教育普及センター |
| 26 | 測量士補 | 国土地理院 |
| 27 | 介護福祉士国家試験 | 社会福祉振興・試験センター |
| 28 | 社会福祉士国家試験 | 社会福祉振興・試験センター |
| 29 | 保育士試験(前期+後期合算) | 全国保育士養成協議会 |
| 30 | 看護師国家試験 | 厚生労働省 |
この30試験に対して、それぞれの公式ページ(PDF等)から2025年の受験者数を取得し、多い順に並べ替えることで「受験者数ランキング」が完成します。
出典元の公式リンク一覧
30試験の受験者数はすべて以下の公式サイト・機関から取得します。調査する際の入口として整理しました。
| 対象資格 | 実施機関・所管 | 公式URL |
|---|---|---|
| 情報処理技術者試験全般 (ITパスポート/基本情報/SG/AP ほか) |
IPA(情報処理推進機構)統計情報 | ipa.go.jp/shiken/toukei/ |
| 宅地建物取引士(宅建) | 不動産適正取引推進機構 | retpc.jp |
| 行政書士 | 行政書士試験研究センター | gyosei-shiken.or.jp |
| 社会保険労務士(社労士) | 社労士試験センター | sharosi-siken.or.jp |
| FP技能検定(3級・2級など) ※日本FP協会+きんざいの合算が必要 |
日本FP協会 | jafp.or.jp/exam/ |
| きんざい | kinzai.or.jp | |
| 危険物取扱者(乙4・甲種・丙種など) | 消防試験研究センター | shoubo-shiken.or.jp |
| 電気工事士/電験(電気主任技術者) | 電気技術者試験センター | shiken.or.jp |
| 安全衛生系 (衛生管理者・ボイラー・クレーン等) |
安全衛生技術試験協会 | exam.or.jp |
| 施工管理技士 | 全国建設研修センター | jctc.jp |
| 建築士(1級・2級) | 建築技術教育普及センター | jaeic.or.jp |
| 測量士・測量士補 | 国土地理院 | gsi.go.jp |
| 福祉系 (介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士) |
社会福祉振興・試験センター | sssc.or.jp |
| 保育士 | 全国保育士養成協議会 | hoikushi.or.jp |
| 看護師など医療系国家試験 | 厚生労働省 | mhlw.go.jp |
次のステップ
次回は、この30試験それぞれについて「2025年受験者数が載っている該当ページ(PDF等)を特定し、実際の受験者数を取得して順位を確定します。公式データの場所の探し方や、PDF形式の統計から数値を読み取るコツについても記録する予定です。
まとめ
最初は「ランキングを作る」と言っても、AIに聞けばそれっぽい答えがすぐ出ます。ただ、アプリに載せるとなると次の3つを決めないと数字の意味が曖昧になってしまいます。
- それは何のランキングか(受験者数なのか、人気なのか、合格率なのか)
- 同じ土俵で比較できているか(試験の粒度・集計期間・複数回実施の扱い)
- 出典は公式か(実施団体・所管官庁の公式統計ページ)
今回の着地点は、主要な国家資格を30試験に絞り、試験単位の粒度をそろえ、2025年の受験者数を公式発表から集計して並べ替える、という手順でした。データの定義が先、集計が後というこの順番は、資格に限らずどんな比較を作る際にも通じると思います。
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